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そんな駅の肖像を描く 駅物語
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浜寺公園
(南海電鉄・南海本線)
〜 美しき私鉄最古の駅舎
〜
浜寺公園から駅へ向かう道の途中にある定食屋で昼食をすませ再び浜寺公園駅の前へとやってきた。穏やかな冬の午後、駅の前には堺市の移動図書館の車が店をひろげ地元の主婦や子供達が集まる。図書館車が停まっている場所から駅舎が撮れるといいなと思い、帰ろうとする一人の主婦に「移動図書館何時までですか?」と聞いてみた。彼女は私のカメラを見て、「あー、じゃまですよね。もう30分ぐらいで終わりますすいませんねー」と言われた。
とんでもない、こちらこそよそ者がおじゃまして、と思い恐縮した。子供が駅前の松の植えこみのまわりを自転車で走り回る。郊外の駅ならどこにでもありそうな風景だが、美しい洋風建築の駅舎はここにしかない見事なものである。
浜寺公園駅は現存する私鉄最古の駅舎だ。1907年生まれ、2002年の今年95才だ。
長らく誰の手によって建てられたのか不明だったが、昭和52年になってレンガ造りの東京駅を設計した辰野金吾博士の設計だと判明した。辰野博士は当時の建築界の大御所、そんな人がなぜこんな小さな駅を設計したかというと、当時日露戦争によるロシア兵捕虜がこのあたりにあった捕虜収容所に収容され、軍関係者や各界の大物が訪れたためだとか、明治時代のリゾート地の名所として富裕者層が訪れるため立派な駅舎にしたのだという。
(川島令三著 全国鉄道事情大研究より)
今私達が見ることができる過去は、昭和初期の少し早回しぎみの白黒フィルムが一番古いぐらいで、ましてや明治時代など写真でも貴重なぐらいだ。でもここ浜寺公園ではいつでも明治時代が鮮やかな総天然色で味わえる。特徴ある玄関柱も輪郭がはっきりと見られ、直に触れることだってできる。明治時代の人達が見ていたものを今同じように見ていると思うと不思議な気分だ、と思っていると駅の向こうを「ラピート」が猛スピードで走っていった。
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